オススメ映画

2001年4月から数え始めた映画鑑賞が、2020年9月27日、遂に1万本を達成しました!

「オススメの映画を教えてほしい!」という声を頂く機会が本当に多いので、

1万本を達成を記念して、そして10月10日35歳というアラフォーになったことを記念して、

僕の独断と偏見によるオススメの映画をできる限り1日1本紹介していきたいと思います。

『用心棒』2020/10/26 紹介

黒澤明監督作品の中でも3本の指に入るであろう傑作。冒頭、三船敏郎が演じる桑畑三十郎が現れ、その姿だけで「こいつ、只者ではないな」と思わせる貫禄が堪らない。また、この作品はアクションであると同時にコメディでもある。緊張と笑いが上手く噛み合い、時代劇らしくないところが大きな魅力なのだ。しかし、この時代の役者の顔は本当に凄いと思う。演技力という次元ではなく、もっと深いところから感情が湧いてきて、見ているこっちまで心に迫ってくるものを感じる。殺陣自体は凄まじいのはもちろんのこと、役者から溢れ出る気迫は、まさに鬼気迫る重圧だ。

『ウエスト・サイド物語』2020/10/25 紹介

ジャンル的に好き嫌いで大きく分かれるかもしれないが。ミュージカル映画の記念碑的作品。この先どんなに世紀が変ろうとも、脈々と生き続けるブロードウェイ・ミュージカルの伝統はこの作品に帰依するに違いない。また、この作品の根底には、貧困と差別、そして不寛容による対立がテーマになっていると思う。米国が抱える様々な問題を、若者たちが歌って踊る。単に言葉を歌や踊りに置き換えるだけではなく、多面性を秘めていると感じた。特に最初の場面は、言葉で語る以上に歌や踊りで伝えているという印象を受けた。

『太陽がいっぱい』2020/10/24 紹介

アラン・ドロンは不遇の少年時代を送ったからだろうか、何処か卑しさが漂っている。そんな彼にとって、トム・リプリー役は適任だったと思う。その証拠に、この作品で彼が食事をする場面では、どんなに上品に振る舞おうとしても不釣り合いな様子に映る。そんな卑しさから抜け出そうとする不器用な男の悲しさを描いたのが、まさにこの作品なのだ。しかし、こんなに孤独なのに、どこか満ち足りた表情を見せるところも魅力の一つだろう。それにしてもあの音楽がなかったら、この作品は傑作になり得たのだろうか?映像と音楽は表裏一体だ。

『サイコ』2020/10/23 紹介

サイコスリラーの原点であり、ヒッチコック監督作品の中でも間違いなく3本の指に入る傑作です。とにかく怖い映画を見たいという方は、まずはこの作品を見てはいかがだろうか。怪物や幽霊なんかより、日常の中にいる人間の方がずっと怖い(興味深くもある)。何より雰囲気は最初から最後まで緊張感があって、先が読めない展開にハラハラドキドキした。しかも、カラーの選択肢がある時代にもかかわらず、あえてモノクロを選択している。でも、カラー以上に色彩を表現しているところが凄い。彼にとって白は光で、黒は影なのだろう。墨絵の如く奥深き作品である。

『荒野の七人』2020/10/22 紹介

あの超傑作、黒澤明監督の『七人の侍』(これもいつか紹介します)を、ユル・ブリンナーが惚れ込んでリメイクの権利を買い取って制作された本作。故に本家と比較されてしまいがちですが、比較なんて野暮と思わせる程の完成度である。超豪華俳優陣がそれぞれのポジションで好演をし、音楽は最高にカッコよく、テンポも気持ちが良い。あと、この作品から大事なことを学べる。一つの仕事に対する『責任』である。農民が現代のサラリーマンなら、七人のガンマンは現代の職人だろう。最後に、西部劇と言えば?と問われれば、本作が真っ先に浮かぶだろうな。

『お熱いのがお好き』2020/10/21 紹介

ビリー・ワイルダー監督、マリリン・モンローにジャック・レモン。無敵だ。最初はマフィアモノだと思っていたが、実はかなりハイレベルなコメディで、例えるなら落語の様な作品だ。サゲがバシッと決まる西洋が生んだ落とし噺の傑作である。かなりの人数が打ち殺されるシーンがあるのに、それでもなぜか笑って楽しめるのは、脚本の素晴らしさに加え、映像の撮り方が実に上手いからだろう。白黒なのもさらに良い。実は今回、勇気を出して思い切って再鑑賞してみた(基本的に年月が経ったら再鑑賞はしない主義)。あの時と全く色褪せてなくて本当に良かった。

『隠し砦の三悪人』2020/10/20 紹介

黒澤明監督の中では最も娯楽を追求した作品と言えるだろう。ストーリー自体は万人受けとは言えないかもしれないが、分かりやすい面白さに拘っているし、何より全てのキャラクターが際立っている。内容にはあまり関係のないことだが、作中の風景が全体を通して西洋風な気がする。強いて言うなら西部劇を思わせる。黒澤明監督は、後に世界の名だたる映画人に多大な影響を与えたが、黒澤明監督もまた、西洋の映画人から多大な影響を与えられたに違いない。真壁六郎太が馬に乗りながら刀を振り回して戦うシーンは危険過ぎるが、そこが本当にリアルで役者魂を感じる。

『戦場にかける橋』2020/10/19 紹介

観る前は戦争映画と思ったが、個人的には全然違った。この作品の根底には『無抵抗運動』がテーマになっている様な気がするが、何より仕事に対するプライドというものを教えられた印象だ。期日までに橋を完成させたい日本軍の面子と、その一方で日本軍だけでは成せなかったであろうことをイギリス軍の手によって成功させたという現実。齋藤大佐とニコルスン中佐の対立は、お互いの信念の違いによるものだからこそ一歩も譲ることができない。しかし、その対立を経て和解から生まれる友情の証が橋だったのかもしれない。ラストは非常に考えさせられる。

『エデンの東』2020/10/18 紹介

この作品は、ジェームズ・ディーンの、いや、ジミーの最高傑作だと思っている。ジミーが演じるキャル・トラスク。心の葛藤に嘆く屈折した若者の、特にあの寂しげな表情は誰にも真似できないだろう。この映画を観る際は、旧約聖書の『アダムとイヴ』『カインとアベル』の話が予備知識としてあるといいかもしれない。善と悪、罪と罰、そして愛。まさに人間にとって切っても切れない永遠のテーマを突きつけられる。たとえ悪人であっても、悩み、恐れ、そして愛を求めているのだ。

『道』2020/10/17 紹介

普遍的な人間の悲しさを描いた傑作。正直、観なきゃよかったなと思うくらい悲しくなりました。人間は、時に神の言葉を心から欲し、時に人間で在ることを心から欲する一貫性のないアンバランスな生き物だ。だが、それが人間としては正しい姿なのかもしれない。人生において、自ら選んできた道を見つめ直すことは可能だが、選ばなかった道を見つめ直すことは不可能だ。つまり、自分のしてしまった行為の愚かさに気づいたとしても、選択してきた道を後戻りすることはできない。人生の岐路に立った時、この作品の教訓を胸に悔いのない選択をしたいと思う。

『裏窓』2020/10/16 紹介

ヒッチコック監督の中で最も好きな作品。映像の力を最大限に生かすことにおいては、彼の右に出る監督はいないかもしれない。と言うのも、オープニングでは、ナレーションで説明してしまいがちな所を、カメラ1台で説明してしまうし、主人公のことやアパートの住民のことに至るまで、全て映像で説明してしまうところが実に巧みだ。この作品は、主人公ジェフリーズの視線の先で行われる。特に『覗き』に関しては、覗かれる側ではなく、覗く側の『覗く』ことそのものを見せ、そこから生まれる距離感を利用して最高の『怪しさ』を表現している。ヒッチコック万歳。

『禁じられた遊び』2020/10/15 紹介

世の中の不条理を描き、ドキュメント性に溢れる命の尊厳を問うた反戦映画。ドイツ軍の攻撃によって両親を失った少女ポーレットは、少年ミシェルと出会い、彼の家で過ごすことになる。その家と隣の家の大人たちは、国家間の大きな戦争とは別に、隣家間で小さな戦争をしている。大人と子供。そして少女と少年。それぞれの距離感を上手く描いていて本当に切ない。現代の日本は、死というものが日常からかけ離れたものになってしまったのかもしれないが、この時代は日本でも死が身近なものだっただろう。戦争と墓遊び。どっちが禁じられた遊びなのかもうお分かりだろう。

『サンセット大通り』2020/10/14 紹介

物語はフィクションだが、物語っていることはノンフィクションだと思う。サイレントからトーキー。モノクロからカラー。そんな移り変わりの時代を背景に、ハリウッドの華やかな銀幕の裏側を見事なまでに写実した内幕劇。特筆すべき点は、過去の栄光を諦めることができず、復活を夢見る女優ノーマ・デズモンドを演じたサイレント映画の大スター、グロリア・スワンソンだろう。ノーマの老いを受け入れることができない姿というのは、時間と共に自分の価値の変化を分かっているが故の足掻きなのだろう。その愚かな姿がとても人間らしく、なぜか美しく見えたんだ。

『第三の男』2020/10/13 紹介

サスペンス映画の教科書と言ってもいいくらい、脚本、音楽、映像、描写、演技、どれをとっても観る度に新しい味が出てくる作品。時代が第二次世界大戦直後の不安定なオーストリアということもあって、この雰囲気を現代で表現することは不可能でしょう。これはホリー・マーチンスというフラレ男の典型的パターンを最大限に描いたものだと思っている。それはただのダメ男という意味だけではなく、彼が戦勝国のアメリカ人で、彼の恋愛の舞台が統治されたウィーンだったのも関係しているだろう。光と影を巧みに使った白黒の芸術的映像美にも注目です。

『オズの魔法使』2020/10/12 紹介

もはや美術作品。子供向けと子供騙しの違い(もちろん前者)を遺憾なく教えてくれる夢とロマンが詰まった名作。この美術作品を観る度に、僕は童心に無事帰還することができる。単なるファンタジーでは終わらず、そこには家族の物語がしっかりと根を張っている。「家庭の中が幸福でなければ、外に出ても幸福を掴むことはできない。求めるものは既にそこにある」というメッセージが素晴らしい。セピアからカラーに変わるところが大好きだ。難しいかもしれないけれど、ドロシーの様なピュアな気持ちをいつまでも持ち続けたいと思っている。

『風と共に去りぬ』2020/10/11 紹介

南北戦争が背景の中で、恋愛を軸に繰り広げられる壮大な人生物語。「黒人は白人に忠実」というステレオタイプな部分があるが、むしろ米国社会の素性が覗けたという意味でも、自分の中の無意識的加害性に気づかされるという意味でも傑作である。ビビアン・リー演じる超わがままなスカーレットが最高に素晴らしい。愛している人は手に入らないのか?それとも手に入らないから愛しているのか?「お前に似ていた。お前だと思って甘やかすのが楽しみだったんだ」という台詞で涙しました。ちなみに約4時間あるので、余裕のある時に観て下さい。

『或る夜の出来事』2020/10/10 紹介

文句の付けようがない最高のラブロマンスコメディであり、またロードムービーの先駆者的存在。サイレント映画からトーキー映画に移り変わった時代の初期作品だが、トーキーの意義を最大限に発揮したのは、クラーク・ゲイブル演じるピーター・ウォーンのマシンガントークにあるのかもしれない。何よりピーターはワイルドでセクシーで男の僕でも惚れ惚れするほどカッコイイ。ヒッチハイクの場面は笑えるし、結婚式の場面は泣ける。ヒロインのエリーは最初は魅力をあまり感じないが、恋心が芽生えてからだんだんと魅力的になるのも見所だ。